ホテル経営者が始めた、函館・元町エリアで “地域と観光をつなぐ” ランドリー経営のリアル

観光地・函館元町でホテルを運営してるオーナーが、地域ニーズと観光需要の双方に応えるべく始めた「ももちゃんランドリー」。
宿泊業の視点で見えていた課題と、地域住民の生活導線を掛け合わせるようにして生まれた、独自のランドリーモデルの実態に迫る。

店舗・オーナープロフィール

店舗名

大型コンランドリー ももちゃん

住所

〒040-0052 北海道函館市大町3−10

お名前

遠藤さん(オーナー)

開業年

2021年

開業のきっかけについて

ホテル運営の中で見えてきた“足りない部分”
私は、コインランドリーから徒歩3分のところで ホテル を運営しています。
ホテルのロビーにも宿泊者向けに洗濯機と乾燥機を1台ずつ置いているのですが、
長期滞在のお客様や大量の洗濯物を抱えた方を見ていると、
ホテル内の簡易ランドリーだけでは十分ではない というのが正直な感想でした。

その一方で、函館市内にはコインランドリーの店舗数が増えてきているものの、
ホテル近くに使いやすいランドリーがなく、
観光客や民泊利用者、そして地元の人も困っているのでは…と感じる場面が多かったんです。

ちょうどその頃、グループ内の別館ホテルを売却したことでまとまった売却益が出まして、
「地域の役に立つことに使いたい」と考えた時、
ホテルの課題を解決しつつ、地域にも必要とされるランドリー という選択肢が浮かびました。

近くで10店舗ほどコインランドリー展開しているクリーニング屋さんが繁盛しているのも見ていて、
“これは需要があるな” と確信が持てたことも後押しになりました。

開業準備

開業場所はもともと 6階建て団地の1階で営業していた肉屋さんの跡地なんです。
廃業されて、価格も手頃だったので購入しました。
隣には寿司屋さんの跡もあり、それもセットで購入して、そちらはカフェオーナー希望の方に賃貸しています。

最初は「何をやろうかな」という状態でしたが、その団地だけでも30戸近く住んでいること、
さらに近隣の港に停泊して1週間滞在するヨットの方々や、近隣ホテルの宿泊者、民泊が増える中での リネンの洗い場ニーズ があると感じ、コインランドリーが地域にフィットするだろうと判断しました。

コインランドリー機器や開業準備については、函館市内で20店舗程展開している会社にお願いしました。
地元での実績が多く、「メンテナンスが早い・安心できる」という点が決め手です。

オープン時は周辺3000世帯に対し、北海道新聞に折込チラシを入れて、一週間だけ割引を実施。
これが思った以上に反響があり、立ち上がりはとてもスムーズでした。

開業後の運営実態

洗濯乾燥機4台、乾燥機2台 の構成でやっています。

ホテルの宿泊者の中には、「ホテルの簡易ランドリーでは容量が足りない」ということで、
徒歩でコインランドリーまで来てくださる方も多いです。
観光で長期滞在される方や、港にヨットを停泊している方もよく利用されます。

売上のピークは 夏と週末・祝日
単身赴任の方や独身の方の“溜め洗い”も重なるので、わかりやすく動きます。

光熱費はそこまで重たくなく、十分に売上で賄えています。
日々やることは、

  • 朝と夕方の両替機チェック
  • 10分程度の清掃
  • コイン回収
  • ゴミ捨て
    くらい。
    雪の時期だけ、店前の雪かきがありますが、苦になるほどではありません。

運営面で「これは困った」ということは、ほとんどないですね。

成功の工夫と差別化

お店の特徴として、ラックを2台購入し、本棚の共有スペース をつくりました。
コミックや小説を置いて、
「持ち帰ってOK」「いらない本は寄付」というルールにしているのですが、
これがすごく好評で、毎日少しずつ本が増えたり減ったりしています。

ある日は、学校の先生が店内のテーブルでテストの採点をしていたり、
住民の方が本を読みながら待っていたり、観光客の方がふと座って休んでいたり。
洗濯をするだけの場所ではなく、
自然と人が居られる“居心地のいい空間” に育っていきました。

コインランドリーって無人なのに、どこか人の温度がある場所になるんだなと、私自身も驚きました。
地域の中で役割のある店舗になっていると感じ、嬉しく感じています。

開業形態

今回、私はフランチャイズではなく “独立開業” を選びました。

最大の理由は、函館市内で安心できる実績を持つ会社が近くにあったことです。
相談するたびに、このエリアの特性や季節の観光需要まで踏まえた提案をしてくれて、
「ここなら任せられる」と自然に思えました。

元町エリアは観光で訪れる方と地元の方が交わる独特の空気があります。
この場所でランドリーを運営することで、地域生活と観光体験をつなぐ小さなハブのような役割を果たせれば、と考えています。

オーナーとしての本音

ホテル業と比べると、ランドリーは本当に手間が少なく、
それでいて地域や観光のお客様にしっかり使っていただける事業です。

何より、本棚が自然に循環したり、人がふらっと座っていたり、店内の空気が“あたたかい場所”になっているのを見ると、
やって良かったなと感じます。

ホテルが「旅の拠点」だとするなら、ランドリーは「地域の日常に溶け込む場所」。
その二つを近い距離で運営できるのは、とても面白い経験です。

今振り返っても、“困ることがほとんどない開業” でした。
もし同じ立地・同じ条件が揃ったら、私はまたランドリーをやると思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
皆さんの挑戦が素晴らしい一歩になりますよう、応援しています!

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