ランドリー総研
コインランドリー開業・経営の総合研究所
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【特集】コインランドリー業界が向き合う、災害とランドリーの現在地 日本コインランドリー連合会 活動報告会・店舗視察同行記
2026年8月31日・9月1日、一般社団法人 日本コインランドリー連合会の活動報告会と店舗視察にランドリー総研が同行。4社が語った災害対応の知見と、都内で見た「備え」のかたちを追った。
有明に展示された三共工業の災害対応型コインランドリートレーラーと牽引車
ランドリー総研は前回の特集で、熊本地震の被災地に移動式ランドリー「COMOREBI」を送り込んだ山本運輸の挑戦を紹介した。「災害対応ランドリー」に取り組んでいるのは、一社だけではない。コインランドリー業界には、メーカー・機材商・販売店・店舗オーナーなどが集う一般社団法人 日本コインランドリー連合会(日コ連)が存在する。2026年8月31日・9月1日、その活動報告会と店舗視察に、ランドリー総研は取材という形で同行した。会員企業4社の代表が語った「災害対応ランドリー」の現場、そして実際に足を運んで見た“備え”のかたちを、本特集でお届けする。
「日コ連」という業界団体が担うもの
全国のコインランドリー店舗数は2万6,000店と言われている。生活に欠かせないインフラの一つになった一方で、出店を阻む用途地域規制や、利用率が伸び悩む中での店舗数増加、光熱費・水道料金の上昇に見合わない利用金額など、業界には構造的な課題も多い。
こうした状況を受けて、メーカー・機材商・販売店・店舗オーナーが一体となって発足したのが日コ連だ。2026年9月2日に公式会員一覧を確認したところ、正会員31、準会員30、特別賛助会員5、賛助会員25、パートナー会員84の計175会員が掲載されている。規制緩和、適切な税制・補助金制度の確立、そして業界の健全な発展を目的に活動している。
活動は災害対応にとどまらない。衛生管理ガイドラインの策定、コインランドリー特有の経費構造をふまえた「適正な利用金額」の議論、開設届出の全国一律化に向けた厚生労働省への働きかけなど、複数の分科会が並行して動いている。その一つが、2024年度から活動する「防災対策分科会」だ。
ランドリー総研は今回、8月31日の活動報告会、翌9月1日の店舗視察に参加させてもらった。会場では、業界の第一線に立つ登壇者たちから、率直な声が語られた。

8月31日 活動報告会――「明日は我が身」という危機感
冒頭あいさつに立った宮澤敏文理事長は、経済産業省が主催する会合にも触れながら、「各地で相次ぐ災害は、気候変動を背景に、もはやどの地域にとっても“明日は我が身”だ」と語った。防災庁設置法が2026年7月17日に公布され、設置に向けた準備が進む中、移動式ランドリーを含む災害対応車両の登録制度が動き出していること、そして国・地方自治体との情報共有に、業界側がまだ慣れていない実情にも言及があった。
業界の数字にも切り込んだ。全国の店舗数は2万6,000店と言われている。一方、中古機械の買取・入れ替え事業も増えており、店舗の新陳代謝が進んでいる。「一部の繁盛店だけでなく、業界全体がもっと社会に根付く存在になっていく必要がある」という問題意識のもと、乾燥機の利用に依存した売上構造から脱し、「洗う」市場そのものを増やしていく方針が語られた。実際、雨や災害が続く時期には乾燥需要が伸び、店舗の稼働は上がる。しかし裏を返せば、天候や災害の有無に左右されない「洗う」需要そのものを底上げすることが、業界の持続的な成長には欠かせないという課題提起でもあった。
2024年に日本記念日協会に登録された「コインランドリーの日」(5月28日、“コ(5)インランドリーでふわ(28)ふわ”の語呂合わせに由来)についても、認知度がまだ十分でないという課題が共有された。加えて、用途地域規制によって出店できないエリアが多いこと、一方で道の駅への出店は適性が高く、今後拡大させていきたいという方針も示された。

続いて登壇した常任顧問の米田建三氏は、協会をより力のある存在にしていく必要性を強調した。「大規模災害が起きた際に、ランドリー施設が果たす役割を、理念ではなく現実のものにする――それは社会的な要請だ」。業界としてまとまることの意義を、まだ加盟していない企業にも伝えていく必要があると述べ、規制対応や情報共有を共同で進められること、業界内でのプレゼンスを高められることなど、加盟によって得られるメリットを挙げた。
経済産業省からは、エネルギー資源のプッシュ型支援や、業界の社会的地位向上に向けた「適合マーク」制度の開始が報告された。2026年5月28日に公表された「コインランドリー業界の現状と展望に関する研究会」報告書に触れ、ライフスタイルの変化に伴うニーズの変化や、建築基準法上の用途地域規制の見直しが今後の課題であることも共有された。
日コ連の高橋事務局長からは、より実務的な報告があった。経済産業省が全国のコインランドリーの稼働状況を把握しつつ、関係団体と連携しながら、能登や熊本など被災地ごとの状況に応じた支援を模索しているという。費用負担は、災害救助法に基づく国の負担が最大9割となる仕組みを踏まえ、現地自治体との細やかな連携が欠かせないと強調された。
災害対応車両登録制度(D-TRACE)とは
日コ連の高橋事務局長や宮澤理事長が触れた登録制度は、正式には「災害対応車両登録制度」と呼ばれ、2025年6月1日から運用が始まった。ランドリーカー、ランドリートレーラー、ランドリーコンテナなど、洗濯サービスを提供する車両が登録対象に含まれる。内閣府防災担当が所管し、検索システム「D-TRACE」を通じて、被災自治体が必要な車両を照会できる仕組みだ。被災自治体が支出した車両活用の費用について、国は災害救助法に基づき最大9割を負担する。
制度創設の背景には、2024年1月の能登半島地震で、まだこの登録制度がなかったために、日コ連経由での連携があったものの十分な支援体制を組めなかったという反省があるという。現時点では三共工業をはじめ複数の会員企業が登録を済ませているが、登録可能な事業者はまだ他にもおり、日コ連として登録の呼びかけを進めている段階だ。
登壇4社が語った、それぞれの「災害対応ランドリー」
活動報告会では、実際に災害対応ランドリーに取り組む4社の代表が、それぞれの現場での知見を共有した。アプローチは異なるが、根底にある問題意識は共通している。
株式会社ジーアイビー(ブルースカイランドリー):店舗そのものを“防災拠点”に
停電時に周辺住民が店舗に殺到した経験をきっかけに、炊き出し支援・電力供給・一時避難および地域避難の機能を店舗に持たせる取り組みを進めている。自治体や地域団体との災害協定も順次拡大しており、公式LINEの登録者数は約84万人にのぼる。「地域に根ざしたビジネスだからこそできる」と鈴木衛社長は語った。

ファミリーレンタリース株式会社:ランドリーBOXで届ける洗濯支援
洗濯用コンテナとインフラ用コンテナを組み合わせた「ランドリーBOX」で、約6時間に150世帯分の洗濯支援を行った実績を持つ。水とプロパンガスがあれば稼働でき、自治体からの要請を受けて被災地へ運搬する仕組みだ。「衛生的な汚れは心身に影響する」という言葉に、洗濯支援の本質が表れていた。

株式会社OKULAB(Baluko Laundry Place):「そなえるランドリー」という発想
店舗を帰宅困難者の一時滞在拠点として開放する「そなえるランドリー」に取り組んでいる。非常用備蓄品を常備し、日常的に利用するランドリーを、災害時にも地域の支えとなる場所へ。平時と災害時の双方に役立つランドリーのあり方を模索している。

三共工業:移動・設置できるトレーラーハウス型
建築確認・基礎工事が不要なトレーラーハウス型ランドリーで特許を取得している。平時は通常のコインランドリーとして運用し、災害発生時には被災地へ移動させ、避難所の近くに洗濯の場を提供する構想だ。
9月1日 現地視察――東京都内で見た「備えのかたち」
活動報告会の翌日、ランドリー総研は都内での店舗視察・車両見学に同行した。会場で語られた取り組みを、実際に目で見て確認できる機会となった。
Baluko Laundry Place 代々木上原:「そなえるランドリー」の現場
東京都渋谷区にあるBaluko Laundry Place 代々木上原は、「そなえるランドリー」導入店舗の一つだ。店内には、25年保存可能な非常食や15年保存水、災害用トイレ処理剤、スリーピングバッグ、レスキュータオルといった防災用品が常備されている。災害時には、ランドリーの利用有無にかかわらず、地域住民や帰宅困難者が一時的な滞在場所として利用でき、非常時は備蓄品も利用可能だ。24時間営業のランドリーという店舗特性を、防災インフラとして生かす発想である。なお、備蓄品の内容は店舗によって異なり、利用条件と利用方法の詳細は実施店舗で案内されている。

Baluko Laundry Place 渋谷代官山:もう一つの選択肢、トレーラーランドリー
同じくOKULABが展開するBaluko Laundry Place 渋谷代官山では、トレーラー型のランドリー設備を確認した。24時間・年中無休で、通常のコインランドリーとして営業している。

視察では、トレーラー型設備におけるランドリー機器の構成や、日常の店舗運用について説明を受けた。
三共工業のトレーラーハウス型コインランドリーを実車見学(有明)
続いて訪れた有明では、三共工業が手がけるトレーラーハウス型コインランドリーの実車を見学した。車内には洗濯機5台、乾燥機7口、スニーカーランドリー1台が配置されており、参加者は機器構成や内部の動線を確認した。

業界団体が担う、次の一歩
日コ連は、店舗数の伸び悩みや規制といった構造的な課題に業界自ら向き合いながら、災害対応という一つのテーマを軸に、企業の垣根を越えた知見の共有を進めている。2025年6月に始まった災害対応車両登録制度も、能登半島地震での経験を踏まえて生まれた仕組みであり、業界と行政がともに体制を整えている最中だとわかる。
前回の特集で紹介した山本運輸のCOMOREBIが「点」として被災地に駆けつける存在だとすれば、今回見えてきたのは、店舗の防災拠点化、インフラ条件に応じたコンテナ型支援、都市型の帰宅困難者支援、そして移動式設備という、複数の“面”の取り組みだ。アプローチは違っても、「洗う」という生活の基盤を災害時にも絶やさないという方向は一致している。
業界団体に求められるのは、個々の企業が積み重ねてきた知見を共有し、行政や自治体が動ける仕組みへつなげていくことだろう。ランドリー総研は今後も、平時の店舗が非常時にどのような役割を担えるのか、そして移動式設備を必要な場所へどう届けるのかを追い続けたい。
取材協力
- 一般社団法人 日本コインランドリー連合会
- 株式会社ジーアイビー「ブルースカイランドリー」
- ファミリーレンタリース株式会社
- 株式会社OKULAB「Baluko Laundry Place」
- 三共工業株式会社
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災害対応型ランドリーの導入、自治体との連携、店舗づくりについて検討している方は、ランドリー総研コンシェルジュへ。特定企業に偏らない立場から、状況に合った選択肢を一緒に整理します。
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業界動向:経済産業省「コインランドリー業界の現状と展望に関する研究会」報告書
制度情報:内閣府「災害対応車両登録制度」
防災庁設置準備:内閣官房「防災庁設置準備」